日機装 深紫外線LED 開発の歴史-3
ノーベル賞受賞者と歩んだ研究開発の道―「深紫外線LED」開発ストーリー(3)
日機装は、『ノーベル物理学賞』を受賞された天野先生、赤﨑先生との共同研究により、深紫外線LEDの量産化に乗り出し、現在は「水除菌」「表面除菌」「空間除菌」とその活路を広げています。こうした実用化レベルの量産化が実現したのは2015年。当時、高出力である50ミリワットの光出力と、1万時間超の製品寿命を持つ深紫外線LEDの開発に成功しました。
市場の評価を超える製品が完成
実用化レベルの製品づくりを目指すにあたって日機装が目標としたのは、製品寿命を1万時間とすることでした。というのも、当時、市場に出ていた海外製品は、「ライトがすぐに切れる」「出力が下がる」などの課題があり、「深紫外線LEDは使えない」というのが、通説になっていました。こうした評価をくつがえす製品を出すことは、研究員たちの大きなモチベーションでもありました。
いまもなお開発にあたる研究員は、「使われるものをつくらないことには意味がありません。『使いやすい』『使いたい』と思ってもらえる製品を目指し、研究を続けています」と話します。これは、天野先生が当初から口にされていた「技術を社会実装させてこそ意義がある」という思いと重なっています。
より豊かな生活を実現するために、発展途上国への貢献……広く使われる製品を目指して
こうして出来上がった製品はいま、さまざまなところで活用されています。たとえば、流水浄化装置は、装置に取り付けた深紫外線LEDを水に照射すると、水中に存在する菌やウイルスが除菌できるというデータが取れています。こうした水の浄化製品はウォーターサーバーや飲料の自動販売機の注ぎ口といった私たちの身近な製品をはじめ、カキの養殖をはじめとする水産業向けの装置、さらには発展途上国にきれいで清潔な水を届けるためにも使われています。
水の次は「空気」の除菌に挑戦
水の除菌に続いて日機装が挑んだ分野、それは「空気」でした。当社の医療機器事業でお付き合いのある医療施設や介護施設で開発のニーズを感じたことがきっかけになりました。
こうして生まれたのが、日機装の空間消臭除菌装置『Aeropure(エアロピュア)』の原型です。日機装の深紫外線LEDに加えて光触媒をコーティングしたフィルタを組み合わせるという新しい発想で菌やウイルスを除菌し、さらににおいの原因となる物質やアレル物質も分解するという仕組みの構築したこともポイントです。またこのフィルタは、深紫外線の強いエネルギーにも耐えられる金属製のものを採用。ここにも「機体を傷めることなく、長期間安全に使っていただけるものを」という、私たちの医療機器メーカーとしてのプライドが生きています。
より安心に感じられる環境づくりを陰で支え、快適な暮らしの実現に貢献したい。この思いをもとにした製品開発は続いています。日機装は装置メーカーとして、今後も新しい技術開発に力を入れつつ、これまでに例のない、まったく新しい製品を生み出すことで社会に貢献することを目指しています。