深紫外線ってなに?
自然界にある三つの紫外線とその特徴
自然の光は虹色の世界
雨上がりに見られる七色の虹。その姿が空に現れると、なんだかうれしい気持ちになりますよね。
この虹は、上から赤・だいだい・黄色・緑・青・藍色・紫の順に並んでいます。これら七色は人の目に見える範囲の光であり、「可視光線(かしこうせん)」といいます。この可視光を波長による数値で表すと、もっとも波長の長い赤は700 nm(ナノメートル)前後、もっとも短い紫は400nm前後。この範囲に入らない光線は、人間の目には見えません。目に見えない光のうち、赤よりも長い波長を「赤外線」、紫よりも短い波長を「紫外線」といいますが、どちらとも私たちがよく耳にする言葉ですね。
赤外線は、たとえばテレビのリモコンや、体温の変化を映し出すサーモグラフィ画像などに使われており、私たちにとっても身近な存在です。一方の紫外線もまた、身近といえばそうなのですが、「お肌の大敵」とばかりに敬遠する人も多いのではないでしょうか。
紫外線三つの種類
さて、この紫外線には、波長の違いによって三つの種類があります。一つは、「UV-A」です。三種類の紫外線のなかで一番波長が長く、雲や屋内を透過して人体まで届くため「生活紫外線」とも呼ばれています。浴びることで、肌が黒くなったり、シワやたるみの原因をつくったりします。二つ目は、「UV-B」です。肌に赤い炎症を起こす紫外線で、シミやそばかすのもとになるものです。「UV-A」とくらべ、波長は短く地球に降り注ぐ量はわずかですが、DNAを傷つける性質を持っており、皮膚や目、免疫系の病気につながる恐れもある怖い存在です。
ちなみに、冬よりも夏のほうが、朝夕よりも昼のほうが日焼けしやすい理由は、太陽と地球の距離が関係しています。夏は冬よりも太陽の高度が高いため地球との距離が近く、そのぶん受ける紫外線の量も多くなります。朝夕と昼の関係も同様で、太陽が真上にある昼は紫外線が大気層を通過する距離も短く、地球までダイレクトに届きますが、一方、太陽に角度のつく朝夕は通過する大気の距離が長いぶん、時間をかけて紫外線を吸収、拡散してくれるため、日焼けしにくくなります。
最近、耳にする「深紫外線」 どんな性質があるの?
最近、耳にする「深紫外線」 どんな性質があるの?
さて、三つ目の紫外線は、「UV-C」です。紫外線のなかでもっとも波長が短く、「深(しん)紫外線」「Deep-UV」とも呼ばれています。最近、この紫外線が注目を集めています。
さきほど、「UV-B」について「波長が短く、DNAを傷つける」とお話ししましたが、実は紫外線は波長が短いほど、人体に悪影響を及ぼします。この「UV-C」も強い除菌作用を持ち、生体に対する強い破壊性を持っています。しかし、そのほとんどが大気層で吸収されるため、いまのところ地表に届くことはありません。ただ、オゾンホールを抜けて地表に到達する可能性もささやかれており、その影響が懸念されています。
こうした性質を持つ「UV-C」ですが、近年はその作用を活かし、空間除菌装置として業務用から家庭用までさまざまな製品が登場しています。