深紫外線ってどんな効果があるの?
私たちの暮らしの中にある紫外線
前回、紫外線には三つの種類があることをお伝えしました。そこでは、少し怖いこともお話しましたが、決してそればかりではなく、紫外線は実は私たちの生活のさまざまなところで活用されている心強い存在でもあります。今回は、紫外線の持つ、その効果をいくつかご紹介しましょう。
丈夫な骨づくりの助けとして、皮フ病治療の一つとして
まず一つは、健康の維持です。私たちは紫外線を浴びることで体内にビタミンDを生成することができます。このビタミンDには、カルシウムの吸収を促す役割があり、骨を丈夫にしてくれます。魚類にも含まれるビタミンDですが、一定量を食事に取り入れることなく、紫外線を極端に避ける生活をしていると、骨がもろくなり、骨粗しょう症へとつながります。赤ちゃんを母乳で育てているママはご自身に影響するだけでなく、赤ちゃんのO脚やくる病(骨軟化症)のリスクにもなるため、注意が必要です。
ちなみに、1日に必要なビタミンDは、夏なら数分、冬なら小一時間の日光浴で補えるそうです。毎日の生活に、お散歩や気分転換の時間を設けるなどし、意識的に日光を浴びるようにしたいですね。
二つ目は、皮フの病気への効果です。「光線治療」「紫外線治療」といった言葉を聞いたことはありませんか? これは、長波長の「UV-A」(315~400nm)や、中波長の「UV-B」(280~315nm)を皮フにあてることで、免疫反応を起こしたり細胞の増殖を抑えたりして病気を治す方法です。アトピー性皮フ炎や乾癬(かんせん)の治療に取り入れられています。
ジェルネイル、ハンドメイドアクセサリー……こんな身近なところにも
紫外線はさまざまな技術にも応用されています。私たちの身近なところでは、「樹脂硬化」がその一つです……と書くと、なかなかピンときませんが、たとえば、指先のおしゃれを楽しむジェルネイル。ネイルデザインを爪に定着させるために使われるライトに紫外線が使われています。また、ハンドメイドアクセサリーが好きな方なら、透明のベースの中にかわいらしいモチーフを閉じ込めたレジンアクセサリーを思い浮かべると分かりやすいかもしれないですね。ジェルネイルもレジンアクセサリーも、原料となる樹脂が紫外線の照射によって固まる性質を利用しています。ぷっくりツヤツヤの見た目は、実は紫外線から生まれているんですね。
強い除菌作用を応用した製品づくりで、私たちの暮らしを防衛
さらに紫外線は、医療施設や工場、研究機関といった場で除菌や検査などに利用されています。このごろは、私たちの暮らしの中にも少しずつ入り込んでおり、たとえば、トイレやキッチンの菌・ウイルスの除菌や消臭、水の浄化、空気の除菌に役立っています。これらに対し、効果を発揮するのは、「深(しん)紫外線」ともいわれる、「UV-C」。紫外線の中で一番短い波長を持ち、非常に強い除菌作用を持っています。通常、オゾン層などの大気に吸収されるため地球に届くことはありませんが、この深紫外線を人工的につくりだし、このように私たちの健康に活用する技術が続々と生まれています。
以上、私たちの身近にある紫外線をご紹介しました。紫外線は恐れすぎず、正しくうまく付き合っていくことが大切、といえそうですね。