

「深紫外線LED」とは
水銀ランプに替わる
次世代の光源として、
幅広い分野での活躍が
期待されています
紫外線LED(UV-LED)は、水銀ランプに替わる次世代の光源として
注目が集まっています。
特に、水銀ランプの主用途であった
“紫外線を用いた硬化・乾燥・接着”というUVキュアリングだけでなく、
LEDならではの特長を活かして、水や空気の浄化、医療分野の応用など、
多様な分野でのアプリケーション開発が期待されています。
- 環境
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- 医療・ライフサイエンス
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- 工業
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安全、省エネ、長寿命が特長
これまで、水や空気の浄化には、水銀ランプが使われてきました。
しかし、水銀は人体や環境へ悪影響を与えることから「水俣条約」で
2020年をめどに制限されることになりました。
そこで注目を集めるようになったのが、「深紫外線LED」です。
深紫外線LEDは、人体や環境への影響も極めて少ないうえに、
コンパクトで省エネ・長寿命という特長をもっています。
水銀ランプと深紫外線LEDの比較
波長 | 動作電圧 | 大きさ | ウォーミング アップ時間 |
寿命 | 環境負荷 | |
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水銀ランプ | 複数波長 | 100〜数万V | 数cm〜数m | 10〜30分 | 3,000〜 5,000時間 |
高い |
深紫外線LED | 任意の波長を 選択可能 |
5〜10V | 数mm | 0秒 | 10,000時間 以上 |
低い |
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動作電圧
10分の1以下
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寿命
2倍以上
-
ウォーミングアップ時間
0秒
水銀ランプの製造・輸出・輸入は
原則禁止へ
2013年10月10日に熊本県で開催された国連環境計画(UNEP)の外交会議で、水銀汚染防止に向けた国際的な水銀規制「水俣条約(Minamata Convention on Mercury)」が採択されました。2017年8月16日に発効された当条約によって、水銀を使った製品の製造・輸出・輸入が原則禁止となっていきます。


日機装の「深紫外線LED」
ノーベル賞受賞者との協働で
世界最高出力を達成
「青色LED」の先駆的研究開発を評価され、名城大学の赤﨑教授、
名古屋大学の天野教授は、2014年にノーベル物理学賞を受賞されました。
日機装は、2006年から赤﨑教授、天野教授とともに、さらなる窒化物半導体の可能性を求めて、
名城大学内に事業化ベンチャーの創光科学を立ち上げ、両教授のご指導をいただきながら、
深紫外線LEDを製品として実用化すべく努力してきました。


テクノロジー
従来製品の1.7倍の光出力と長寿命を両立
2012年の深紫外線LEDのサンプル販売開始後も、
さらなる高出力化を望む市場の要望に応えるべく、技術改良を重ねていきました。
そして2015年10月には、量産化技術が確立されたものとしては
世界最高出力となる50mW(従来品の1.7倍)の光出力を持ち、
10,000時間超の製品寿命を両立した深紫外線LEDを開発に成功しました。
250nmから350nmのLEDに事業に特化
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2015年に開発した深紫外線LED(当時) -
世界最高性能を実現
紫外線は、400nmよりも波長が短い光のことです。
この範囲でLEDとして実現されているのは250nmから400nmの波長をもつLEDで、
これらを「紫外線LED(UV-LED)」と呼びます。
日機装は、その波長のうち250nm~350nmのLEDを提供しており、
なかでも、280nm以下の「深紫外線」に特化しています。
深紫外線LEDは、水や空気の浄化、樹脂硬化、光触媒などの光源としての特長が、
従来品と比較して大幅に優れていると考えているからです。


独自の流体制御技術とのシナジーを
活かして、
深紫外線LEDの光利用効率を最大化し、
高い浄化性能を実現
日機装の深紫外線LEDの応用製品の一つである水浄化装置は、独自の流体制御技術によって水の流れを制御し、
光学特性と流体特性をマッチングし最適化しています。
これにより、LEDの光利用効率を最大限に高め、高い浄化性能を実現しています。
当社は、これまでも流体に対する機器設計やシミュレーション技術、構造・加工の安定化技術、粉粒体の分析、
医療機器としての安心設計などの技術ノウハウを蓄積し、さまざまな分野に製品を提供してきました。
今後も従来事業とのシナジーを活かして、深紫外線LEDのさらなる応用を追求していきます。
製品ラインナップ
使用環境に合わせて適切な型式を提案可能
お客様の使用環境や求められる流量などの要求性能に合わせ、
以下の型式からより適切なモデルを提案します。
小型、低消費電力、水銀フリーといった特長もあることから、
局所使用、電池など低電圧電源での駆動、食品向けでの使用など、
従来の紫外線水銀ランプでは困難であった用途にも使用できます。
シリーズ |
![]() Aモデル |
![]() B・Cモデル |
![]() |
![]() |
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詳細情報 |
深紫外線LEDを用いた水除菌製品として世界最小クラスの水除菌モジュールです。
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全長100mm以下の深紫外線LED水除菌モジュールです。
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本体内部に水を通し、深紫外線を照射することにより、水中の菌を除菌します。
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世界初、上下水道ほどの流量を除菌可能な深紫外線LED水除菌装置
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推奨流量 |
~10L/min
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50L/min~
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7,500㎥/day対応可能
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導入例 |
ウォーターサーバー、給湯器、蛇口、浄水器など
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飲料水、工場内の洗浄水・原料水・チラー水、養殖タンク、浴場・温泉など
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上下水道など
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事例紹介
こんな場面で深紫外線LEDは
活躍しています

水道水を作る浄水場では、ろ過や塩素殺菌だけでなく、耐塩素性の細菌の紫外線による不活化処理が必要です。従来この処理には紫外線水銀ランプが使われてきましたが、水銀は人体に有毒かつ環境への負荷が高いため、代替光源が求められています。
深紫外線LEDを用いることで水銀フリーを実現し、より安全で安心な水を届けられるようになります。また、長寿命化も同時に実現できますので、環境負荷低減にも貢献できます。

日本の水道水は世界一厳しい基準で守られており、水そのものの安全性には問題はありません。しかしながら、配管や蛇口を通過する際に、再度汚染されるリスクを抱えています。このため日本でも浄水器が普及しつつありますが、一般的な浄水器で水の浄化に用いられるフィルタは、浄水場で使用されるものに比べると性能が低く、さらに、使用のたびに劣化していきます。
浄水器に深紫外線LEDを用いることで、再度付着した細菌を無害化できるようになります。また、1万時間超の長寿命により、劣化のリスクを低減でき、頻繁な交換も不要となります。

十分に浄化された水であっても、配管やタンク内で長期に滞留すれば、水が汚染されるリスクは高くなります。しかし、紫外線水銀ランプはサイズが大きく、局所的な浄化には使用しにくいため、このような場合には一定時間通水することで汚染水を排出することが一般的な対策となっていました。
深紫外線LEDは水銀ランプよりも小型で、局所使用(Point of Use)に適しています。低消費電力、長寿命といった特長もあり、ウォーターサーバ・飲料自動販売機・コーヒーメーカ・歯科用チェア・温水洗浄便座・製氷機など、水が通るあらゆる場所での活躍が期待されています。